2025年(令和7年) 行政書士試験問題

行政書士合格講座

令和7年度
行政書士試験問題
試験開始の合図があるまで開いてはいけません。
答案用紙の氏名、受験番号、生年月日が正しく記入やマークされていないと採点できなくなり
ます。その場合、欠席者とみなされ、合否通知書が送付されません。
特に受験番号は、必ず受験者本人の受験番号を記入しているか、受験票で確認してください。
(注意事項)
1 問題は1ページから50ページまで60問あり、時間は3時間です。
2 解答は、別紙の答案用紙に記入してください。
3 答案用紙への記入およびマークは、次のようにしてください。
ア 氏名は必ず記入してください。
イ 受験票の受験番号および生年月日を、所定欄に横書きし、該当箇所をマークしてく
ださい。
ウ 択一式(5肢択一式)問題は、1から5までの答えのうち正しいと思われるものを
一つ選び、マークしてください。二つ以上の解答をしたものや、マークが薄かったり、
細かったり等、判読が困難なものは誤りとなります。
<択一式(5肢択一式)問題の解答の記入例>

問題1 日本の首都は、次のうちどれか。

1 札幌
2 東京   (正解)
3 名古屋
4 京都
5 大阪

エ 択一式(多肢選択式)問題は、枠内(1〜20)の選択肢から空欄 ア〜エに当
てはまる語句を選び、マークしてください。二つ以上の解答をしたものや、マークが
薄かったり、細かったり等、判読が困難なものは誤りとなります。

<択一式(多肢選択式)問題の解答の記入例>

問題2 次の文章の空欄 ア〜 エに当てはまる語句を、枠内の選択肢(1
20)から選びなさい。
…………… ア…………………………… イ…………………………………
…………………………… ウ……………………………… エ………………。
1 ……2……3……4……5……6……7……8……9……10……
11……12……13……14……15……16……17……18……19……20……

オ 記述式問題は、答案用紙裏面の解答欄(マス目)に記述してください。

 

1
法 令 等[問題1〜問題40は択一式(5肢択一式)]

問題2 裁判員制度に関する次の記述のうち、裁判員法*の規定に照らし、誤っているも
のはどれか。

1 裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、くじその他の作為が加わら
ない方法で選任される。
2 一定の事由があれば、検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対して、選任さ
れた裁判員の解任の請求をすることができる。
3 裁判員は、地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続に参加する。
4 裁判員の関与する判断は、合議体を構成する裁判官の意見を聞いた上で、裁判員
の過半数の意見によって行われる。
5 裁判員が、その関与する判断のための評議の秘密を漏らしたときは、当該裁判員
は、刑罰を科される。

(注) * 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

問題3 法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なもの
はどれか。

1 尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を
通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとし
て、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。
2 所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱い
を行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙
する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。
3 女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別に
よる差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取
り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。
4 子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼす
ことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立さ
れてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。
5 憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関
係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していな
いか厳格かつ慎重に審査されなければならない。
2

問題4 取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当で
ないものはどれか。

1 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られた
ものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約
をこうむることとなってもやむを得ない。
2 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個
人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上
是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
3 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲
載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるお
それも多分に存し、当然に認められるものではない。
4 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ
所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、
法の下の平等には反しない。
5 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活
動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする
必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。
3

 

問題5 国会の召集に関する次の文章の空欄 ア
て、妥当なものはどれか。〜エに当てはまる語句の組合せとし

憲法は、国会について ア制を採用し、内閣がその召集を実質的に決定する権限
を有するものとした上で、52条、53条及び54条1項において、常会、 イ会及び
ウ会の召集時期等について規定している。そのうち憲法53条は、前段において、
内閣は、 イ会召集決定をすることができると規定し、後段において、いずれかの
議院の総議員の4分の1以上による イ会召集要求があれば、内閣は、 イ会召集
決定をしなければならない旨を規定している。これは、国会と内閣との間における権
限の分配という観点から、内閣が イ会召集決定をすることとしつつ、これがされ
ない場合においても、国会の アを開始して国会による国政の根幹に関わる広範な
権能の行使を可能とするため、各議院を組織する一定数以上の議員に対して イ会
召集要求をする権限を付与するとともに、この イ会召集要求がされた場合には、
内閣が イ会召集決定をする義務を負うこととしたものと解されるのであって、
個々の国会議員の イ会召集要求に係る エを保障したものとは解されない。
(最三小判令和5年9月12日民集77巻6号1515頁)


1 会期

特別

臨時

権限又は権能
2 立法期 臨時 特別 権限又は権能
3 会期
特別
臨時
権利又は利益
4 立法期 特別 臨時 権限又は権能
5 会期
臨時
特別
権利又は利益
4

 

問題6 内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際
の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。
2 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院
で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。
3 内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を
行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は
行使できないと解されている。
4 国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前
に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなけ
ればならない。
5 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署するこ
とを必要とする。

 

問題7 法令の形式に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 皇室典範は、皇室会議が定める規則であるが、憲法の授権により、皇位の継承や
摂政など、本来は法律で定めるべき事項を規定することができる。
2 衆参各議院の規則は、会議その他の手続及び内部の規律に関する事項を広く規定
しており、本会議における議事や議決の定足数、議事を非公開にするための要件な
どの議事に関する重要事項も、専ら各議院の規則が定めている。
3 憲法は、内閣が定める政令についてのみ、法律の委任を条件に罰則を設けること
を認めているので、各省大臣が定める省令については、法律の委任によって罰則を
設けることはできない。
4 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理
に関する事項について規則を定める権限を有するが、下級裁判所に関する規則を定
める権限を、下級裁判所に委任することができる。
5 会計検査院は、憲法上独立性が保障された機関であることから内部組織に関する
自律権が認められており、その組織・権限は専ら会計検査院自身が定める規則に
よって規定される。
5

 

問題8 行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当な
ものはどれか。

1 瑕疵なく成立した授益的処分について、事後の事情の変化を理由に講学上の撤回
をすることは、かかる撤回ができる旨を定める明文の規定が法律または条例にある
ときに限られる。
2 重大かつ明白な瑕疵を有する処分は当然に無効とされるが、処分の瑕疵が明白で
あるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどう
かにより決まる。
3 一定の争訟手続に従って当事者を手続に関与せしめ、紛争の終局的解決を図るこ
とを目的とする処分であっても、当該処分をした行政庁は、特別の規定がない限
り、当該処分を取り消すことができる。
4 既になされた授益的処分について、講学上の職権取消しができるのは、当該授益
的処分の成立時に違法があるときに限られ、不当があるにすぎない場合は除外され
る。
5 処分の成立時点において瑕疵があった場合、事後の事情の変化により当該瑕疵が
解消するに至ったとしても、その瑕疵は治癒されることはなく、当該処分はそれを
理由として取り消されるか、または当然に無効であるとされる。
6

 

問題9 行政罰に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なも
のの組合せはどれか。

ア 財団法人の理事の就任に関する登記が法定期間内に行われなかったことに対して
科される過料は、非訟事件手続法に基づく手続によって科されるが、中立性のある
裁判所によって、当事者の陳述の機会を設けた上で科されるものであり、かつ即時
抗告も可能であることから、憲法上の適正手続の要請に反しているとはいえない。
イ カルテル行為を行ったことによって独占禁止法*違反被告事件において罰金刑が
確定している者に対し、さらに独占禁止法の規定に基づき課徴金の納付を命ずるこ
とは、課徴金を課せられるべき違反者の行為を犯罪とし、それに対する刑罰とし
て、これを課する趣旨でないことは明らかであるから、二重処罰の禁止には違反し
ない。
ウ 所得税の確定申告において虚偽記載を行い所得税を脱税したことにより、懲役刑
と罰金刑を併科された者に対して、さらに重加算税を科すことは、重加算税が申告
納税を怠った者に対し、その行為の反社会性ないし反道徳性に着目し、これに対す
る制裁として科せられるものでもあるから、二重処罰の禁止に抵触する。
エ 刑事裁判において正当な理由がなく証言を拒んだ場合に、刑事訴訟法に基づき裁
判官により秩序罰として科される過料と、同法に基づき通常の刑事手続により科さ
れる罰金は、法廷秩序の維持という点で目的が共通しているから、両者を併科する
ことは許されない。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
(注) * 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
7

 

問題10 行政行為の附款に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合
でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。
2 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、この
ような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回する
ことはできない。
3 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用
許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可
は許可の時点に遡って無効となる。
4 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の
「条件」に該当する。
5 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に
限られ、不作為義務を課すことはできない。

 

問題11 行政手続法が定める弁明の機会の付与に関する次の記述のうち、妥当なものはど
れか。

1 不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、
代理人を選任することができる。
2 不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、
行政庁に対し、弁明を記載した書面(弁明書)を提出する時までの間、当該不利益
処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
3 弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後、当該不利益処分に利害関係を有
する者が当該弁明書の閲覧を求めた場合、行政庁は、正当な理由があるときでなけ
れば、その閲覧を拒むことができない。
4 弁明を記載した書面(弁明書)の提出を受けた行政庁は、当該弁明についての調
書及び報告書を作成しなければならない。
5 行政庁は、弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後に新たな事情が生じた
ときは、弁明書を提出した者に対しその再提出を求めなければならない。
8

 

問題12 個人情報保護法*によれば、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が同法
の定める一定の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要が
あると認めるときは、当該事業者に対し、必要な措置をとるべき旨を勧告すること
ができ(同法148条1項)、そして、当該事業者が正当な理由がなくてその勧告に
係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫している
と認めるときは、当該事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ず
ること(以下「命令」という。)ができる(同条2項)。
上記の勧告と命令に関する次のア〜エの記述のうち、行政手続法の定めに照ら
し、妥当なものの組合せはどれか。なお、上記勧告は処分(同法2条2号)ではな
く行政指導であり(同条6号)、命令は処分であることを前提にする。

ア 勧告は、命令を行う前に執られる弁明の機会の付与のための通知に該当する。
イ 勧告に携わる者は、その相手方に対し、勧告の趣旨及び内容並びに責任者を明確
に示さなければならない。
ウ 勧告を受けた者は、これに続く命令が個人情報保護法に規定する要件に適合しな
いと思料する場合、個人情報保護委員会に対し、行政手続法の定めに従って、当該
命令をしないよう求めることができる。
エ 個人情報保護委員会は、命令をする場合、その名宛人に対し、原則として、同時
にその理由を示さなければならない。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
(注) * 個人情報の保護に関する法律
9

 

問題13 行政手続法が定める申請に対する処分に関する次の記述のうち、妥当なものはど
れか。

1 行政庁は、申請を拒否する処分については申請者に対し当該処分の理由を示さな
ければならないが、それは申請者からの求めがあった場合に限られ、当該申請者の
求める形で行えば足りる。
2 行政庁は、申請者に対し、当該申請にかかる審査の進行状況及び当該申請に対す
る処分の時期の見通しを示すよう努めなければならないが、それは申請者の求めに
応じて行えば足りる。
3 行政庁は、申請に対する処分について処分基準を定めなければならないが、その
処分基準を定めるにあたっては、処分の性質に照らしてできる限り具体的なものと
しなければならない。
4 行政庁は、申請を拒否する処分をしようとする場合には、当該申請者について意
見陳述のための手続を執らなければならないが、その手続は原則として弁明の機会
の付与で足りる。
5 行政庁は、申請がその形式上の要件に適合しない場合には、速やかに、当該申請
者に対し相当の期間を定めてその補正を求めなければならず、補正を求めることな
く許認可等を拒否してはならない。

 

問題14 行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名で
審査請求をすることができる。
2 審査庁は、必要があると認めるときは審査請求人の代理人の選任を命じることが
できるが、選任された代理人は、審査請求人のために、取下げを含めた当該審査請
求に関する一切の行為をすることができる。
3 審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成しなければならな
いが、当該名簿を公にする必要はない。
4 処分についての審査請求は、複数人が共同してすることはできず、各自がそれぞ
れ審査請求をする必要がある。
5 処分の申請に対する不作為について審査請求をすることができる者は、申請者に
限られることはなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者も含
まれる。
10

 

問題15 審査請求と再調査の請求との関係に関する次の会話の下線部ア〜エのうち、妥当
なものの組合せはどれか。
学生A: 今日は行政不服審査法の定める審査請求と再調査の請求との関係について
学んでいこう。
学生B: 再調査の請求は、処分庁自身がその処分の適否を再度見直すための仕組み
だね。
学生A: まず、行政処分について、ア処分庁以外の行政庁に対して審査請求をする
ことができる場合には、処分庁に対して再調査の請求を当然にすることがで
きる。
学生B: なるほど、実際には、租税や年金分野において多く提起されているようだ
ね。
学生A: そして、イ再調査の請求は任意的なものであるので、再調査の請求ができ
る場合でも、直ちに審査請求を提起することもできる。
学生B: じゃあ、再調査の請求と審査請求の両方を同時に提起できるのかな?
学生A: ちょっと待って…。どうやら、ウ再調査の請求をすると、原則として、そ
の決定を経た後でなければ審査請求はできないことになっている。
学生B: それでは、再調査の請求をしても、決定が出るのが遅れた場合にはどうな
るのだろう?
学生A: その場合でも、決定を経ることなく、審査請求をすることができる。エこ
のような場合、行政不服審査法では、再調査の請求が棄却されたとみなされ
ることになっている。
学生B: なかなか複雑な仕組みだね。正しく覚えておこう。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
11

 

問題16 行政不服審査法が定める教示に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であ
るかどうかや不服申立期間等につき教示を求められても、利害関係人は処分の相手
方以外の者であることから、当該事項等を教示する必要はない。
2 行政庁は、審査請求もしくは再調査の請求または他の法令に基づく不服申立てを
することができる処分を書面でする場合、当該処分の相手方に対し、不服申立てが
できること、不服申立てをすべき行政庁、不服申立てができる期間について、教示
をしなければならないが、口頭による教示も認められている。
3 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であ
るかどうかや不服申立期間等につき書面による教示を求められた場合であっても、
これに代えて口頭により教示をすることができる。
4 処分庁により審査請求をすべき行政庁について誤った行政庁が教示された場合、
誤って教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政庁は、審査
庁となるべき行政庁を改めて教示し、審査請求人に審査請求書を返送しなければな
らない。
5 処分庁が不服申立てをすべき行政庁につき教示を怠った場合、当該処分に不服が
ある者は、処分庁に審査請求書を提出することができ、処分庁以外の行政庁に審査
請求ができる処分であるときは、処分庁は、審査請求書を当該行政庁に送付しなけ
ればならず、送付された場合、初めから当該行政庁に審査請求がされたものとみな
される。
12

 

問題17 抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なも
のはどれか。

1 関税定率法(当時)の規定に基づく輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当
の理由がある旨の税関長による通知は、いわゆる観念の通知と見るべきものである
が、当該通知があった場合には、輸入申告者は貨物を適法に輸入する道を閉ざされ
るのであって、これは当該通知によって生ずるに至った法律上の効果と見るのが相
当であり、当該通知は行政処分に当たる。
2 交通反則金の納付の通告は、通告を受けた者において通告に係る反則金を納付す
べき法律上の義務を生じさせるものであるから、行政処分に当たる。
3 地方公共団体の水道事業において、水道料金を条例の適用範囲全域につき一律に
値上げすることを内容とする水道給水条例が制定された場合、水道の利用者はかか
る条例の施行によって値上げされた水道料金の支払義務を負うこととなるため、当
該条例の制定行為は行政処分に当たる。
4 登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関に対して税務署長への
還付通知を行うように登録免許税法に基づいて請求した場合、当該通知を拒否する
旨の登記機関による通知は、登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果
を有さないため、行政処分に当たらない。
5 都市計画法に基づく都市計画決定としてなされる工業地域指定は、これによって
当該地域内において、建築物の建築を制限する法的効果が土地所有者等に対して生
じることとなるため、具体的な権利侵害を伴うものであるから、行政処分に当た
る。
13

 

問題18 処分取消訴訟の出訴期間について定めた下記の規定に関する次の記述のうち、法
令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
行政事件訴訟法(行訴法)14条1項「取消訴訟は、処分…があったことを知った
日から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があ
るときは、この限りでない。」
なお、本問では「処分…があったことを知った日」を「基準日」という。

1 行訴法は、行訴法14条1項のほかに、処分の日から一定期間を経過したとき
は、取消訴訟を提起することができない旨の定めを置いているが、この定めには
「正当な理由があるときは、この限りでない。」とのただし書きは付されていな
い。
2 個人情報保護条例(当時)に基づく保有個人情報の一部開示決定に対する取消
訴訟について、開示文書の内容の詳細や不利益性を認識した時が基準日となるこ
とから、基準日は、当該決定の通知書が到達した日ではなく、当該開示文書が到
達した日とされる。
3 行訴法14条1項が定める出訴期間の定めは、無効等確認訴訟の他、形式的当
事者訴訟にも準用されることが行訴法において規定されている。
4 審査請求をすることができる処分についてそれがなされた場合、当該処分に係
る取消訴訟は、当該審査請求をした者については、行訴法14条1項の規定にか
かわらず、当該審査請求を行った日が基準日とされる。
5 都市計画法における都市計画事業の認可のように、処分が個別の通知ではなく
告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、当該告示が
あった日が基準日とされる。
14

 

問題19 処分差止めの訴えに関する次のア〜オの記述のうち、法令および最高裁判所の判
例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 処分差止めの訴えは、一定の処分がされることにより生ずる償うことのできない
損害を避けるため緊急の必要があるときに限り提起することができる。
イ 処分差止めの訴えは、対象となる処分がされることにより生ずるおそれのある損
害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどに
より容易に救済を受けることができないときに提起することができるとするのが判
例である。
ウ 処分差止めの訴えは、義務付けの訴えと同様、申請に対する処分を対象にする場
合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分され、訴訟要件と本案勝訴要件につ
き、それぞれ別個の定めが置かれている。
エ 取消しの訴えについては、処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効
力を有する旨の規定が置かれているが、この規定は、処分差止めの訴えには準用さ
れていない。
オ 仮の差止めは、処分差止めの訴えを提起する前においても申し立てることができ
るが、本案について理由がないとみえるときは、仮の差止めの決定をすることがで
きない。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 ウ・エ
5 ウ・オ
15

問題20 国家賠償法1条に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、
妥当なものの組合せはどれか。

ア 国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここに
いう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力
の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれ
ないとするのが判例である。
イ 国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指
導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれう
るとするのが判例である。
ウ 国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについ
て」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたず
に私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわら
ず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。
エ 国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注
意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を
行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根
拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例であ
る。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 ア・エ
4 イ・エ
5 ウ・エ
16

問題21 国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものは
どれか。

1 国又は公共団体の損害賠償の責任については、民法の規定が補充的に適用される
とされており、失火責任法*もここにいう民法に含まれるが、消防署職員の消火活
動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した事案は、失火責任法にいう「失
火」に該当せず、失火責任法の適用はない。
2 国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が、その職務を行うについ
て、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国又は公共団体がこれ
を賠償した場合において、当該加害公務員は、国又は公共団体に対し、各自が負う
責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う。
3 市町村が設置する学校の教諭につき、当該教諭の給与を都道府県が負担する場合
において、当該教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に
損害を与えたときは、当該教諭の給与を負担する都道府県が、国家賠償法に基づく
損害賠償の義務を負い、学校の設置主体である当該市町村は、同法に基づく損害賠
償責任を負わない。
4 公の営造物の設置又は管理に瑕疵があることによる国家賠償責任につき、当該営
造物の設置又は管理に当たる者とその費用の負担者とが異なるときは、その双方が
責任を負うことになるが、ここにいう設置費用の負担者には、当該営造物の設置費
用につき法律上の負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置
費用を負担し、実質的には事業を共同して執行していると認められる一定範囲の者
も含まれる。
5 国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人(被害
者)に被害を生ぜしめた事案においては、それらの一連の行為を組成する各行為の
いずれもが国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合であったと
しても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するためには、被害者に
おいて、当該事案における加害行為とそれを行った者を特定しなければならない。
(注) * 失火ノ責任ニ関スル法律

17

 

問題22 条例の適法性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でない
ものはどれか。

1 ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の
行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法
および法律に抵触するものとはいえない。
2 地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された
刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとは
いえない。
3 暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味
における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、
憲法21条1項、31条に反するとはいえない。
4 国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定
める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが
憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。
5 集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路
交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。

問題23 都道府県における知事と議会の関係に関する次の記述のうち、法令に照らし、妥
当なものはどれか。

1 議会の議決に属する事項については、軽易な事項であるか否かにかかわらず、議
会が議決により知事の専決処分に委ねることはできない。
2 知事は、議会における議決について異議があるときは、その議決が法令に違反し
ないものである場合であっても、当該議決を再議に付すことができる。
3 再議の結果、議決がなお法令に違反すると知事が認める場合には、内閣総理大臣
に対し審査を申し立てることができる。
4 知事は、緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである
と認める場合には、議決事項を専決処分とすることができるが、後に議会がこれを
承認しない場合には、当該専決処分は無効となる。
5 議会により不信任が議決された場合には、知事は議会を解散することができる
が、解散後初めて議会が招集された時に自動的に失職する。
18

 

問題24 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与に関する次のア〜エの記述のう
ち、妥当なものの組合せはどれか。

ア 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に
違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正の要求をすることができ
る。
イ 各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違
反していると認めるときに、都道府県知事に対し、当該事務の処理について違反の
是正のために必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすること
はできず、これを当該市町村に対し直接に指示することができる。
ウ 都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反してい
ると認めるときは、各大臣の指示によることなく、当該市町村に対し、是正の要求
をすることができる。
エ 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事
務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正
の指示をすることができる。

1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
19

 

問題25 建築に関わる紛争に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当な
ものはどれか。

1 東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟にお
いて、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり
無効か否かに限定される。
2 建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を
交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされ
るのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場
合に限られる。
3 建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合する
ことを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中
に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消
滅する。
4 民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告
が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、
変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。
5 一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これ
を看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、
当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。
20

 

問題26 行政機関情報公開法*(以下「法」という。)に関する次の記述のうち、妥当な
ものはどれか。

1 開示請求にかかる行政文書に個人に関する情報が含まれている場合、開示請求者
は、法が定める範囲内で、行政機関において、特定の個人を識別することができな
いように個人情報を加工した情報を記載した新たな別の行政文書を作成し、その交
付を求めることができる。
2 法にいう「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文
書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとし
て、事案処理手続における決裁、縦覧を経た上で当該行政機関が保有しているもの
をいう。
3 法は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定める
ことにより、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにす
ることを目的としていることから、外国に在住する外国人は、行政文書の開示を請
求する権利を有しない。
4 法は、個人に関する情報について、それが一般に他人に知られたくないと望むこ
とが正当であると認められる情報であるか否かにかかわりなく、当該情報に含まれ
る氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものを
不開示情報としている。
5 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている
場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができ
るときは、法の定める場合を除き、開示請求者の求めに応じ、当該部分を除いた情
報の概要を記載した新たな別の文書を作成し、これを交付しなければならない。
(注) * 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
21

問題27 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれ
か。

1 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害
するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の
請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
2 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるとき
は、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなけれ
ばならない。
3 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、
被保佐人が相続の承認又は放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければな
らない。
4 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたとき
は、その行為を取り消すことができない。
5 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その
法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について、1箇月以上の
期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを
確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないとき
は、その行為を追認したものとみなす。
22

 

問題28 代理人の行う代理行為に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例
に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 任意後見契約に基づく任意代理人は、任意後見契約で定められた被後見人の財産
に関する代理行為を行うのに対し、家庭裁判所の審判により選任された法定代理人
である後見人は、家庭裁判所の審判において定められた被後見人の特定の財産行為
についてのみ代理行為を行う。
イ 法定代理人は、任意代理人と異なり、いつでも復代理人を選任することができる
が、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責
任のみを負う。
ウ 法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任
意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続す
る旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。
エ 代理人であった者がその代理権が消滅した後に、その代理権の範囲内において代
理行為を行った場合、その者が当該代理人が任意代理人であったか法定代理人で
あったかを問わず、本人は、代理権の消滅について善意・無過失の第三者に対し
て、その責任を負う。
オ 代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能
力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の
法定代理人である場合でも同様である。

1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・オ
5 ウ・エ
23

問題29 即時取得に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥
当なものの組合せはどれか。

ア Aは、相続により、被相続人Bが現に占有していた動産甲を、それが設置された
不動産と共に承継したが、甲はCの所有物であった。この場合、甲がBの所有物で
ないことにつきAが善意・無過失であれば、Aは甲を即時取得する。
イ Aは、売買により動産乙を、現にそれを占有する未成年者Bから購入して現実の
引渡しを受けたが、その後、Bの法定代理人Cが、AB間の売買契約を未成年を理
由に取り消した。この場合、Bが未成年者であったことにつきAが善意・無過失で
あれば、Aは乙を即時取得する。
ウ Aは、売買により動産丙を、現にそれを占有するBから購入して現実の引渡しを
受けた。丙が自動車である場合、丙が登録済みであるか否かにかかわらず、Aは丙
を即時取得しない。
エ Aは、売買により動産丁を、それを占有代理人Cによって占有するBから購入
し、BはCに今後Aのために占有するように指示してAがそれを承諾した。丁はA
からBに寄託されているものであった場合、承諾時において丁がBの所有物でない
ことにつきAが善意・無過失であれば、後にその事実を知るに至ったとしても、A
は丁を即時取得する。
オ Aは、売買により動産戊を、現にそれを占有するBから購入したが、その際、A
がBの元に戊を引取りにいくこととし、それまでの間、BがAのために占有するこ
とが合意された。戊はBが他から賃借したものであった場合、AがBから戊の現実
の引渡しを受ける時点において、戊がBの所有物でないことにつきAが善意・無過
失であれば、Aは戊を即時取得する。

1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 エ・オ
24

 

問題30 Aは、Bとの間でA所有の建設機械甲(以下「甲」という。)をBに売却する旨
の本件売買契約を締結し、甲をBに引き渡したが、弁済期が徒過したにもかかわら
ずBから代金の支払を受けていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規
定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 AはBに対して、催告した上で代金不払を理由として本件売買契約を解除する旨
の通知を行った場合、その後Bは甲をCに売却して引き渡したとしても、Aは、C
に対して甲の返還を求めることができる。
2 DがBから甲の修理を請け負い、修理を終えて甲をBに返還したが報酬の支払を
受けていない場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Dに先立って
優先弁済を受けることができる。
3 BがEのために甲に質権を設定した場合においても、Aは、甲につき先取特権を
行使して、Eに先立って優先弁済を受けることができる。
4 BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡した場合にお
いても、Aは、甲につき先取特権を行使することができ、Fはこれに対して異議を
述べることはできない。
5 本件売買契約において所有権留保特約が設けられていた場合、BがGのために甲
を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡したとしても、Aは、Bに対して
留保所有権に基づいて甲の引渡しを求めることができ、Gはこれに対して異議を述
べることはできない。
25

 

問題31 Aを売主、Zを買主とする売買契約に基づいて発生したAのZに対する売買代金
債権(以下「本件債権」という。)を、AがBに譲渡し、その旨の債権譲渡通知
(以下「本件債権譲渡通知」という。)が内容証明郵便によって行われ、Zに到達
した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当で
ないものはどれか。

1 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済し
ていた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むこと
ができる。
2 Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通
知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達し
た。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備した
Cの存在を理由として、これを拒むことができる。
3 Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通
知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した
ため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額について
は供託金の還付を請求することはできない。
4 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有して
いる場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨
の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して
主張することができる。
5 本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてA
から引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償
請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺す
る旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張
することができる。
26

問題32 AとBが、Cから連帯して400万円を借りている場合(AとBの負担部分は200
万円ずつ)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なもの
はどれか。

1 Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をすることを怠った
場合において、すでに弁済により共同の免責を得ていたBがAに事後の通知をして
いなかったときは、Aは、Bに対して自己の免責行為を有効であるとみなすことが
できる。
2 Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をしないで弁済を
し、共同の免責を得た場合において、Bは、Cに対して200万円の反対債権を有し
ていたときは、自己の負担部分の200万円について、Aの求償に対して相殺をもっ
て対抗できる。
3 Aが、Cに対して400万円の反対債権を有する場合において、Aが相殺を援用し
たときは、Aの負担部分の200万円についてのみ、Bの利益のためにも、その効力
を生ずる。
4 Cが、Aに対して債務を免除した場合において、Aの負担部分の200万円の限度
で、Bは、Cに対して債務の履行を拒むことができる。
5 AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成した場合において、BがCに400万円
を弁済したときは、Bは、Aに求償権を行使することができない。
27

 

問題33 消費貸借契約に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例に照ら
し、妥当なものの組合せはどれか。

ア 消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の
貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解
除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠
償を請求することができる。
イ 金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契
約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成
立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合に
は、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。
ウ 消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要
である。
エ 消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当
該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の
価額を返還することができる。
オ 消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付き
であるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の
返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を
負う。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ
28

 

問題34 不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なもの
はどれか。

1 盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して
引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対し
て、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。
2 他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙
を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還する
までの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。
3 違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約
が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
4 不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者
Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登記手続が未了であった場合、その
贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求
めることができる。
5 Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸
金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済と
して受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対して
その返還を求めることができる。

 

問題35 認知に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

1 嫡出でない成年の子を、その父又は母が認知する場合には、子の承諾を得なけれ
ばならない。
2 父が胎内にある子を認知する場合には、母の承諾を得なければならない。
3 認知は、認知の時からその効力を生ずる。
4 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
5 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することが
できるが、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、その訴えを提起するこ
とはできない。
29

 

問題36 交互計算に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれ
か。なお、当事者に別段の意思表示がないものとする。

1 交互計算とは、商人間での平常取引において、一定の期間内の取引から生じる債
権および債務の総額について相殺をし、それによって生じた残額の支払いを約する
ことをいい、商人と商人でない者との間での平常取引では、交互計算を約すること
はできない。
2 交互計算の当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、6か
月とする。
3 交互計算の当事者は、債権および債務の各項目を記載した計算書の承認をしたと
きは、当該計算書の記載の錯誤または脱漏の場合を除き、当該各項目について異議
を述べることができない。
4 交互計算に基づく相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の
日以後の法定利息を請求することができる。
5 交互計算の各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。
30

 

問題37 発起人に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1 発起人とは、定款に署名、記名押印または電子署名をした者をいうが、定款に署
名、記名押印または電子署名をしていないものの、実質的に設立を企画し尽力した
者であれば、会社の設立事務を行う義務と権限を有する発起人とみなされる。
2 発起人は、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付につい
てあらかじめ定めた期日またはその期間内に出資の履行をしないときは、直ちに当
該出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利を失う。
3 設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産につ
いて定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出
資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対
し当該不足額を支払う義務を負う。
4 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益について定款の定
めがない場合には、株式会社の成立の時までに、発起人の全員の同意または創立総
会の決議によって当該事項を決定することができる。
5 設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合には、発起人は、設立時募集株
式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅
滞なく、創立総会を招集しなければならない。

 

問題38 取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはど
れか。

1 取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な
事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。
2 株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をし
た場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に
報告しなければならない。
3 取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもでき
る。
4 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることが
できない。
5 取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめない
で署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。
31

 

問題39 監査役および監査役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤って
いるものはどれか。

1 会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除
く。)は、監査役を置かなければならない。
2 監査役は、特別取締役による議決の定めがあるときを除き、取締役会に出席し、
必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
3 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除
く。)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定め
ることができる。
4 監査役会設置会社においては、常勤の監査役は、監査役の中から株主総会の決議
によって選任しなければならない。
5 取締役、会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に
報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しな
い。
32

 

問題40 株券に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組
合せはどれか。

ア 株券発行会社における株式の譲渡は、当該株式を取得した者の氏名または名称お
よび住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、当該株券発行会社その他の
第三者にも対抗することができない。
イ 株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を
交付しなくても、その効力を生ずる。
ウ 株券発行会社の株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株
券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければな
らない。
エ 株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、株券の所持を希望しない旨を
申し出ることができ、当該株券は、当該株主が当該株券発行会社に提出したとき
に、無効となる。
オ 株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、非訟事件手続法の公示催告にお
ける除権決定により、当該株券を無効とすることができる。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・エ
5 エ・オ
33

 

[問題41〜問題43は択一式(多肢選択式)]
問題41 次の文章の空欄 ア
選びなさい。〜エに当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から
憲法13条は、人格的 アに関わる重要な権利として、自己の意思に反して イ
を受けない自由を保障しているところ(最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月
25 日大法廷決定・民集77巻7号1792頁参照)、不妊手術は、生殖能力の喪失という
重大な結果をもたらす イであるから、不妊手術を受けることを強制することは、
上記自由に対する重大な制約に当たる。したがって、正当な理由に基づかずに不妊手
術を受けることを強制することは、同条に反し許されないというべきである。
・・・(中略)・・・。
憲法13条は ウと人格の尊重を宣言しているところ、〔不妊手術を強制する当時
の優生保護法の〕本件規定の エは、特定の障害等を有する者が不良であり、その
ような者の出生を防止する必要があるとする点において、立法当時の社会状況をいか
に勘案したとしても、正当とはいえないものであることが明らかであり、本件規定
は、そのような エの下で特定の個人に対して生殖能力の喪失という重大な犠牲を
求める点において、 ウと人格の尊重の精神に著しく反するものといわざるを得な
い。
1 利益
4 提案理由
7 国民の権利
公共の福祉
(最大判令和6年7月3日民集78巻3号382頁)
2 人権の不可侵
5 生存
8 生命への危害
3 平等
6 自由の制約
9 正当化根拠
10 身体への侵襲       11 必要性及び合理性       12 人格の自律
13 立法目的         14 自由             15 精神的苦痛
16
17 立法目的達成手段       18 人格の否定
19 個人の尊厳        20 選択
34

 

問題42 次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄 ア
語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。〜エに当てはまる
条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の ア
なく、それぞれの趣旨、 イ
と規定文言を対比するのみで
、内容及び効果を比較し、両者の間に ウがあるかど
うかによってこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中に
これを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が
特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であ
ると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反するこ
ととなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存す
る場合でも、後者が前者とは別の イに基づく規律を意図するものであり、その適
用によって前者の規定の意図する イと効果をなんら阻害することがないときや、
両者が同一 イに出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国
的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体におい
て、その エに応じて、別の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき
は、国の法令と条例との間にはなんらの ウはなく、条例が国の法令に違反する問
題は生じえないのである。
1 立法事実
5 整合性
2 効力
6 目的
(最大判昭和50年9月10日刑集29巻8号489頁)
3 対象事項
7 結果
4 歴史的背景
8 相当性
9 状況       10 立法経緯    11 必要性     12 首尾一貫性
13 立法者意思    14 排他性     15 優劣関係    16 地方の実情
17 住民の意識    18 委任関係    19 矛盾抵触    20 手続
35

 

問題43 次の文章の空欄 ア
選びなさい。〜エに当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から
いわゆる在外邦人国民審査権訴訟は、現に国外に居住していて国内の市町村の区域
内に住所を有していない日本国民(在外国民)が原告となり、在外国民に最高裁判所
裁判官国民審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が
争われた事件である。原告は、被告・国に対し、①主位的に、次回の最高裁判所裁判
官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めると
ともに(本件地位確認の訴え)、②予備的に、被告・国が原告に対して国外に住所を
有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法の規
定に違反して違法であることの確認(本件違法確認の訴え)を求めた。
これについて、最高裁判所大法廷は、最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)
が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するとし、とりわ
け、本件違法確認の訴えにつき、要旨次のような判示を行った(最大判令和4年5月
25 日民集76巻4号711頁)。
①本件地位確認の訴えは、 アに関する確認の訴えと解され、国民審査法4
条、8条の解釈に基づいて、次回の国民審査において審査権を行使することができる
地位にあることの確認を求めているものと解される。しかしながら、国民審査法の規
定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本
件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、 イである。
②本件違法確認の訴えは、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていな
いことが違憲であることを理由として、被告・国が原告に対して国外に住所を有する
ことをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であると主
張し、その確認を求めるものである。このような訴えは、 アに関する確認の訴え
と解され、当該訴えにおいて ウが確定した場合、国会において、裁判所がした違
憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると、結果的に上記の争
いを解決するために エな手段であると認められ、 アに関する確認の訴えとして
適法である。上記の違憲判断を踏まえ、本件違法確認の訴えに係る請求も認容すべき
ものである。
36
37
1 法令の憲法適合性
3 行政庁の公権力の行使に関する不服
5 無効判決
7 原審に差し戻すべきもの
9 法律上の争訟に該当しないもの
11 棄却すべきもの
13 裁判を受ける権利
15 有効適切
17 最終的
19 効率的
2 処分若しくは裁決の存否又はその効
力の有無
4 公法上の法律関係
6 上告不受理決定すべきもの
8 簡易迅速
10 却下すべきもの
12 事情判決
14 公正透明
16 形成判決
18 取消判決
20 確認判決
)
(
[問題44〜問題46は記述式] 解答は、必ず答案用紙裏面の解答欄(マス目)に記述す
ること。なお、字数には、句読点も含む。

問題44 Xは、自己の所有地甲に建築物を建てるために、Y市の建築主事に建築確認を申
請したが、建築基準法による建築制限に適合しないとして建築確認を拒否する処分
(以下「本件処分」という。)がなされた。Xは本件処分を不服として、Y市建築
審査会に対して行政不服審査法に基づく審査請求を行ったが、審査庁は本件処分を
適法であると判断し、請求を棄却する裁決を行った。ところが、建築審査会におい
て議事に加わった委員の一人が、当該建築確認につき利害関係を有する者(建築基
準法第82条)に当たるという手続上の瑕疵があることが判明した。そこで、X
は、この瑕疵を主張して、抗告訴訟を提起したいと考えている。
主張しようとする瑕疵がどのようなものであり、そのため、Xは、誰を被告とし
てどのような抗告訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。
(参照条文)
建築基準法
(委員の除斥)
第82条 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件について
は、・・・(中略)・・・審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができな
い。
(下書用)
10
15
38

 

問題45 Aの配偶者であるBは、Aから法律行為に関する代理権を授与されていないにも
かかわらず、Aが所有する高級腕時計甲につき、自身の海外旅行費用に充てるため
に、Aの代理人と称してCに売却する旨の売買契約(以下「本件契約」という。)
を締結した。このような場合におけるCのAに対する本件契約の履行請求の可否に
つき、判例は、民法110条(権限外の行為の表見代理)の趣旨を類推して相手方保
護を図る旨を示した。判例は、Cにおいて、どのような場合に上記の類推適用を認
めているかについて、40字程度で記述しなさい。
(下書用)
10
15

 

問題46 Aは、Bの所有する隣家の火災(以下「本件火災」という。本件火災は、A及び
Bの故意・過失によるものではない。) を見つけ、消防署に通報した。本件火災
は、ボヤ(小火)であったので、これを消し止めることができると思い、Aは、A
の家に備え付けてあったA所有の消火器を用いて消火活動を開始した。この場合
に、どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないか。また、A
は、消火器を使ったため新たな消火器を購入する必要が生じたが、そのための費用
を、どのような法的性質を有するものとしてBに対して償還を請求することができ
るか。民法の規定に照らして、40字程度で記述しなさい。
(下書用)
10
15
39
基礎知 識[問題47〜問題60は択一式(
5 肢択一式)]

 

問題47 日本の住民投票に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 市町村合併の当否をめぐり住民投票が行われた事例はない。
2 住民投票を実施するために制定される住民投票条例には、投票すべき課題に関し
てその都度制定される個別型と、将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定め
ておく常設型がある。
3 地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例
はない。
4 原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例はない。
5 いわゆる大阪都構想(大阪市を廃止して特別区を設置する構想)をめぐる住民投
票は、国会決議に基づいて実施された。

 

問題48 日本の政党と政治に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せは
どれか。
ア 政党助成法に基づく政党交付金の交付の対象となる政党には、法人格を取得して
いない政党も含まれる。
イ 政治資金規正法は、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄
与することを目的として制定された。
ウ 田中角栄内閣は、日本新党や日本社会党などによる非自民・非共産連立政権で
あった。
エ 鳩山由紀夫内閣は、民主党、社会民主党、国民新党の3党による連立政権であっ
た。
オ 国政選挙などの際に、有権者が政策の実現性を明確に判断できるように、マニ
フェストと呼ばれる政策文書がつくられたこともある。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 エ・オ
40

 

問題49 日本の米価に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 「米公方」と呼ばれた江戸幕府将軍・徳川綱吉は、米価を安定させて、犬などの
生類の保護をしようとして、大阪の堂島米市場を公認するなどした。
2 大正期に米価が急落すると、全国各地で米商人などによる政府機関へのテロ・襲
撃が起きて大騒擾となり、「米騒動」と呼ばれた。
3 1970年代の日本の食糧管理制度では、政府は、米などの価格を規制する一方、
米の過剰生産を抑えるために減反(生産調整)を行った。
4 1995年のいわゆる新食糧法*の施行によって、米価に関しては原則的に公定価格
(生産者米価と消費者米価)によることとされた。
5 米価の急騰を受けて、2025年から、米国政府国際開発庁(USAID;U. S.
Agency for International Development)は、対日支援として備蓄米の放出を開始
した。
(注) * 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律

 

問題50 自由貿易体制と関税に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

 

1 第二次世界大戦後に「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT)が締結され、
現在では世界貿易機関(WTO)が設立されている。
2 環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が離脱した後、新たにアジア太平洋経
済協力(APEC)として締結された。
3 輸入の急増によって国内産業に重大な損害を与える、あるいは与える恐れがある
場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等を行うことを、セーフガードと呼ぶ。
4 関税以外の手段で行われる、自由貿易を妨げる障害を総称して非関税障壁と呼
ぶ。
5 国内産業保護のために、相殺関税やアンチダンピング関税が用いられることもあ
る。
41

 

問題51 経済に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1 需要曲線とは、ある財について、ある消費者が一定期間に消費したい量を、その
財の価格の関数として描いた曲線を意味する。
2 需要の価格弾力性とは、ある財の価格が1%上昇した際の、需要の減少率を意味
する。
3 機会費用とは、ある財の取引機会を利用するために必要な、取引相手の探索や条
件の交渉などにかかる費用を意味する。
4 完全競争とは、多数の生産者と多数の消費者が市場に参加しており、その結果と
して、個別の経済主体の行動が価格に与える影響が無視できるほど小さい状態を意
味する。
5 市場の失敗とは、ある財の市場において外部性が発生するなどの理由により、市
場が効率性の達成に失敗する状態を意味する。

 

問題52 ジェンダーと平等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1 英国では、19世紀末から20世紀初頭にかけて、参政権を求めて女性たちが抗議
活動を行い、厳しい取締りを受けた。
2 米国では、1969年に、同性愛者らが集まるとされる特定のバーへの取締りを機
に、同性愛者らによる抗議運動が起きた。
3 日本では、2019年に、性暴力に反対するフラワーデモが各地で行われ、多くの
ひとたちが集まった。
4 国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW:Committee on the Elimination of
Discrimination Against Women)は、日本政府に対して、女性が婚姻後も婚姻前
の姓を実質的に保持できるよう、法律を改正することを勧告した。
5 日本の男女雇用機会均等法*では、妊娠や出産を理由とする解雇は禁止されてい
ない。
(注) * 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
42

 

問題53 行政書士法に関する次のア~エの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれ
か。

ア 行政書士が、この法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処
分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、
都道府県知事は、当該行政書士に対し、戒告処分をすることができる。
イ 行政書士が、この法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処
分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、
都道府県知事は、当該行政書士に対し、法定年数以内の業務の停止処分をすること
ができる。
ウ 行政書士法人が、この法律又はこの法律に基づく命令、規則その他都道府県知事
の処分に違反したとき又は運営が著しく不当と認められるときは、総務大臣は、当
該行政書士法人の解散処分をすることができる。
エ 行政書士が、この法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処
分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったときに、
都道府県知事が懲戒処分として業務を禁止した行政書士について、日本行政書士会
連合会は登録を抹消することはできない。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
43

 

問題54 戸籍法に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 出生の届出は、出生から3日以内にこれをしなければならない。
イ 「子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別」は、出生の届書に記載しなけ
ればならない。
ウ 「出生の年月日時分及び場所」は、出生の届書の必須記載事項ではないが、記載
することができる。
エ 医師、助産師又はその他の者が出産に立ち会った場合には、原則として、医師、
助産師、その他の者の順序に従って、そのうちの1人が作成する出生証明書を届書
に添付しなければならない。
オ 子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 エ・オ

 

問題55 ディープフェイクに関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1 ディープフェイクは、生成AI技術によって作成されることがある。
2 ディープフェイクは、著名人や公人以外の人にも被害を及ぼすことがある。
3 ディープフェイクは、個人の能力や嗜好をAIで推測するための技術である。
4 ディープフェイクは、詐欺などの犯罪行為に利用されることがある。
5 ディープフェイクは、写真や動画の他、音声データとしても作成される。
44

 

問題56 インターネット上のなりすまし広告などを通じた近年の投資詐欺問題に関する次
の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1 被害者はインターネットを頻繁に利用する若年層が多く、半数以上が30歳未満
である。
2 被害に遭うきっかけとしては、投資サイトよりも、メッセージングサービスや
ソーシャルネットワークサービスが多くを占める。
3 被害を避けるには、著名人のなりすましによる広告での勧誘ではないかを判断す
るために、本人の公式アカウントなどで情報を確認することが望ましい。
4 詐欺の手段として、存在しない架空の暗号資産への投資勧誘が行われることがあ
る。
5 振込先として個人の口座が指定されたり、振込先の口座が頻繁に変わることがあ
る。

 

問題57 個人情報保護制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 個人情報保護法*では、民間事業者への罰則として、年間の売上高に応じた額を
上限とした罰金が定められている。
2 個人情報保護法には、刑事罰としての罰金以外に、制定時以来、課徴金が定めら
れている。
3 個人情報保護委員会は、いわゆるマイナンバーカード(個人番号カード)の交付
事務を行っている。
4 個人情報保護委員会は、個人情報保護法の定める行政機関等に対しては監視を行
わない。
5 個人情報保護委員会は、個人情報保護法の定める個人情報取扱事業者等に対して
立入検査を行うことができる。
(注) * 個人情報の保護に関する法律
45